June 26, 2007

月影



数年前の、ある夜。



庭の砂利道を横切って、玄関へ入ろうとしたその時。



辺りが妙に明るかった。


真っ青に真っ白に冴え渡っていた。





月の光。




凍りつきそうな程に眩しく。




月影が、

闇を浮かび上がらせていた。




総毛立った。


夜を見上げ口をぽっかりと開けたまま、
しばらく身動きがとれなかった。




泣きたくなった。




心を逃がすまいと覆っていた、淀み荒んだ負の感情の暗然たるその膜が、
溶け出すように剥がされて行く気がした。



見たこともない世界。



恐いくらいに、真っ青で真っ白だった。




本能が刹那に弾けるような、
月影が性(さが)に食い込んで来るようなあの感覚。



今でもはっきりと覚えている。



泣きたくなったことも。


浮かんでいた闇も。




私が初めて「神秘」を覚えた瞬間。



未知なる「感情」という神秘が息づくこのカラダで、
これからも未知なる美しき神秘に出会えることを、
遥かに願い上げる発売日前夜にございます。



貴方様が過ごす月の下でのひとときが、
どうか健やかで、やさしい夜でありますように。


月の鏡が映すその運命を、
どうか貴方様が強く乗り越え、
素晴らしい未来を手にすることが出来ますように。




心より、お祈り申し上げます。




関口由紀


bukurox at 21:55│Comments(1)TrackBack(0)clip!

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この記事へのコメント

1. Posted by ふくはら ひろのぶ   June 26, 2007 23:01
月明かりが、まだ知らぬ己の性(さが)を照らし出したのですね。

自分でも全く気づいていなかった感情・想いが、何かをきっかけに
突然顔をもたげてくる 〜 そんなことが、自分39歳ですが未だにあります。
というか、おそらく死ぬまで有るような気がします。


永遠に未知なる人生に幸あれ。

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