April 06, 2019

はるまぼ。


道に迷ってしまったのですが、細い路地を抜けたらそこには緑の波打つ田園が広がっていて、その先の土手には満開を目前とした桜が咲いておりました。
枯れた小川には、菜の花、ぺんぺん草、仏の座、大犬のふぐり、水仙、たんぽぽといった春の野のオールスターズが気ままに唄い、古い丸太が皮をパカパカと浮かせたりぶら下げたりして、等間隔にいくつも掛けられておりました。
近くの藪にはムラサキハナナ、遠くの民家にあれは白木蓮でしょうか。
一見すると私が育ったまちとそう変わらぬ風景ですが、ひっそりと静まった路地を曲がると同時に突然に吹き付けた強い風、眼前に現れた清々しい春野の景色、道に迷った不安以上の好奇心も演出に加わり、巨大なモノノケ猫のバスが走る物語の世界に迷い込んだような心地でした。
異郷のような秘境のような、それでいて郷愁を誘い、怪しささえも覚えるような。
人の姿は見当たらず、この景色に出逢えたことがなんだか嬉しくてかなしくて泣いてしまいそうで、思わず謎のターンでくるくると土手をまわってしまいました。
今思うとあぶないヒト……。
もう少し遠くまで行ってみようと思ったのですが、前を向くと服が身体にべったりとくっつくほど風が強くなり寒さも覚えたため、来た道を引き返しました。

歩いて歩いてコンビニに辿り着き、興奮の薄れる前にこの胸の高鳴りを貴方に伝えたいと思い、駐車場で息も吐かずに綴っております。いや、久々に結構歩いて息切れ……w

次にあそこに行った時、まったく別の景色が広がっているとか、実は路地が行き止まりだったとか、そんな展開を秘かに期待している私がここにおります。

いろいろある貴方の日々が、どうかかなしい色に覆いつくされていませんように。
貴方の心にうつる景色が、どうか美しい世界でありますように。

ゆき

bukurox at 15:07│Comments(8)clip!

この記事へのコメント

1. Posted by ミスターT   April 06, 2019 18:18
ん〜…いつになく目覚めが良い。
では、行先決めずに気の向くまま出かけましょう。

常陸大宮あたりから山道をぐるぐるしていたら、おっとここは「花貫渓谷」紅葉の季節はたまらん場所ですが、春先も良いではありませんか。何となく生命の息吹を感じるぞ(笑)

…と私も美しき景色を心にうつして参りました。
(*'▽')
2. Posted by こめっと   April 06, 2019 20:08
その男の浮気相手が、玉のような女の子を出産したのは、お雪がつららで自分の胸を突き刺して十月十日目の事だった。この世のものとは思えぬほど真っ白な美人の子だった。その子をお菊と命名した。不思議な事にその子は髪の毛が異常に速く伸びるのである。その子が歳を重ねる程にお雪にどんどん似てきてその男は恐怖を覚える日々だった。月日が流れ、その子が二十歳を迎えたとき、吹雪の夜だった。その男の寝ている布団にその子が入ってきた。その男は欲望に耐えきれずその子に手をかけたが余りの冷たさに手を引っ込めた。その子の髪がだんだん伸びてその男の首へと巻き付けた。苦しがるその男に「母さんとの誓いを何故破った?命乞いまでして約束したのに。女を作って雪の夜叉までバラして。」その子の目は真っ赤でお雪そのものであった。その男はまた命乞いをしたが、その子は容赦せず渾身の力を振り絞ってその男の首を締め上げた。間も無くその男は息絶えた。そしてお菊はお雪が眠る山へと吹雪の中消えて行った。奇しくもその日はお雪の命日だった。
3. Posted by 博志   April 06, 2019 22:57
素敵な春の出会いの素晴らしさに嬉しいですよね!
4. Posted by とみとみ   April 07, 2019 10:55
春の景色が広がり ちょつぴり 小さな冒険ね ドキドキ・わくわく感 大切にしたいね、先日駅の植木の中に たくさんの つくしを見つけて 嬉しくなった 私を思い出しました。
5. Posted by せきぐちゆきです。   April 14, 2019 09:43
ミスターTさん>
行き先決めずぶらり旅、良いですよねぇ。あー、私もこのあと出掛けちゃおうかな(笑)。
6. Posted by せきぐちゆきです。   April 14, 2019 09:44
こめっとさん>
とても楽しく拝読致しました!嬉しいなぁ(*´▽`*)
7. Posted by せきぐちゆきです。   April 14, 2019 09:46
博志さん>
植物園や庭園も良いですが、野に咲く自然な花には更に心が安らぎます♪
8. Posted by せきぐちゆきです。   April 14, 2019 09:47
とみとみさん>
土筆♪春ですねぇ♪

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